大事なACL決勝を控えた鹿島と、残留に向けて1試合も落とせない柏。
対照的なチーム状況ではある。
鹿島はセレッソ戦と同様にメンバーを大幅に変えて臨んだ。
前半で2−2と撃ち合いを見せた。早い時間帯に金森に先制点をあっさり許した柏に
残留争いの苦しさが象徴されていたような気がしたが、
そのままズルズルと悪い流れを引きずらなかったことに、
今季の残留争いのレベルの高さも象徴されている。
鹿島のCB町田と犬飼のコンビには不安要素が多い。
肝心なところで踏ん張れないし、ビルドアップでのミスやクリアの判断にも安心感はない。
柏はうまくそこをついて得点を取れた。クリスティアーノのドフリーでのシュートミスや、
伊藤のシュートが鹿島の小田のスーパークリアに防がれた場面を振り返れば、得点のチャンスは十分にあった。
全く悪いゲームではなかった。
「ゲームの入りは良かった。選手たちはよくやってくれた。相手陣地でゲームはできた。ただ、結果が・・・
柏らしさを出すためにゲームに入って、選手たちはそれを表現してくれた。残り2試合は死に物狂いでやるしかない。」
柏の加藤監督の言葉である。
敗戦のショックによる弱々しい言葉からは次節以降に向けた自信や覚悟は感じられなかった。
運に見放されたところは確かにあるが、敗戦の原因はそれだけではない。
2-3の状況で試合終盤に差し掛かるところで、長身のオルンガの投入の判断はもう少し早くできなかったか。
クリスティアーノは変えなければならなかったのか。試合が終わってからであれば何とでも言えるし、
柏の試合を常に見ているわけではないためチーム状態をきちんと把握できているわけではない。
それでもクリスティアーノや伊藤、山崎がサイドで起点になって相手を剥がしてクロスを上げ、
オルンガに合わせる攻撃を続けることが得点の可能性を引き出すことができたのではないかと。
山崎はドリブルに特徴のある選手ではあるが、
後半から流れをまるっきり変えてしまうほどのプレーは残念ながら見せられない。
ボランチを手塚と中山にしたこともチーム状況の打開を考えた手で、
確かに中山から良いボールが供給される場面はあった。
それでも明暗を分けたのはゴール前の少しの差である。
金森のシュートは多くのディフェンダーの合間を抜けてゴールに突き刺さったし、
町田のヘディングもDFの前に一瞬先に入ったことによるものだし、
山口のゴールもポストに当たったボールの跳ね返りの反応の差によるものだった。
前倒しで第32節を消化し、勝ち点を取れなかったことにより、
残留争いに巻き込まれる他のクラブに精神的な余裕を与えることになってしまった。
柏の残り2節の対戦相手はセレッソ大阪とガンバ大阪。
どんな結末を迎えるだろう。