ルヴァン杯決勝 湘南ベルマーレ 1-0 横浜F・マリノス
リーグカップの決勝戦としては地味なカードかもしれない。
しかしこの決勝にたどり着くまでの道筋を振り返ると、納得のできる対戦カードなのである。
決勝戦らしいスタメン発表と両クラブのゴール裏の演出により、普段のリーグ戦とは違った力の入りようが感じられた。大音量のルヴァン杯のアンセムと水曜日のカンパネラのコムアイさんの艶やかな国家斉唱により、さあ今から決勝戦だと言わんばかりの引き締まった雰囲気の中、木村主審のキックオフの笛が鳴った。
マリノスがいつものように後ろからパスを繋ごうとするが、小さなミスを試合序盤から乱発した。なかなか自分たちのリズムを作れず、相手ゴール前での迫力を欠いたことがマリノスの悔やまれるところだろう。ただ、これは決してマリノスが勝手に自滅したのではなく、ベルマーレがしつこく前線からプレッシャーをかけ続け、大舞台でも自分たちのスタイルを貫き通したからこその結果である。
湘南ベルマーレは決して大きなクラブではない。
イタリアでは規模の小さな地方の中小クラブをプロビンチャというが、湘南ベルマーレはまさにそのプロビンチャ像に当てはまるだろう。
信念を貫けば小さなクラブでもタイトルを獲れることが証明された今年のルヴァンカップは、他のプロビンチャのクラブにとっての光となることは間違いない。天皇杯のベスト4にモンテディオ山形が勝ち残っているように、プロビンチャが良い結果を出すところを見れば、Jリーグが今後ますます面白いリーグになるのではないかと、今から心を躍らせてしまう。
タイムアップの笛と同時に両腕を天に突き上げたチョウキジェ監督の姿が印象的であった。
試合後の表彰時のマリノスサポーターからの審判へのブーイングを見れば、判定の面でも悔しいところがあることは間違いない。ただ、マリノスが今後今のスタイルを継続して磨き上げたらどれほど魅力的なサッカーをするチームになるのだろうと、むしろ楽しみになる試合でもあった。
決勝戦の雰囲気を味わいたくて、どちらを応援するわけでもなく現地に参戦したが、期待は裏切られなかった。
Jリーグはもっと面白くなると感じられたし、ルヴァンのお菓子を貰えたし、満足な決勝戦だった。
湘南ベルマーレ優勝おめでとう!