サポーターの最大の喜びはタイトルの獲得である。
ユース時代から応援している選手がトップチームで活躍するところや
クラブの選手が代表で輝く姿を見ることに幸せを感じるサポーターももちろんいる。
それでもタイトル獲得の瞬間はこれまでの応援が報われたと歓喜の涙を流すものである。
ブンデスリーガ第29節をもって、バイエルンの6連覇が決まった。
1強リーグであるだけに、バイエルンの勢いを止めるクラブはなかなか現れない。
バイエルンの補強にはブンデスリーガのライバルクラブからの引き抜きが目立つことからも
悔しさのあまり「反則だ」と嘆くライバルクラブのサポーターはいるだろう。
第29節のアウグスブルク戦で勝利し、優勝を決めたもののやはり感動は伝わらない。
確かに今季は序盤でつまづき、監督交代があったことは想定外だったかもしれないが、
結果的には「そういえば滑り出しは不調だった」という程度の話に終わる。
この優勝で選手もサポーターももちろん喜んだ。全く応援していないクラブでも
選手や監督、サポーターが歓喜に沸く瞬間を見ることは気持ちのいいものである。
ただ、バイエルン優勝の喜びよりもその数時間前に行われた湘南vs鹿島の
ラストプレーでの湘南の勝ち越しゴールの瞬間の歓喜の方が大きかったように感じる。
鹿島の調子がそれほど良くないとはいえ、
湘南にとっては戦力の面でいえば遥かに高い壁であることは間違いない。
良い攻撃の形から鹿島の犬飼のオウンゴールを誘発し、幸先よく先制。
その後すぐに鈴木に同点ゴールを許し、その後は楽な流れではなかった。
引き分け濃厚のアディショナルタイム残り20秒。スローインの流れから
山根がするりと抜け出しプロ初ゴールを叩き込んだ。
そのゴールと同時に試合終了。試合後に岡本が涙を流しているように見えたのは気のせいだろうか。
スタジアムの「熱」という観点から見ればバイエルンの優勝の瞬間よりも熱かったように感じる。
優勝が当たり前となっている状況は羨ましいが、ブンデスリーガの他クラブの強化にも期待をしたい。
サッカーは感情のスポーツであることを改めて感じた。人が喜ぶ姿は美しい。