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『月と蟹』道尾秀介
直木賞受賞作。
あるテレビ番組で道尾秀介さんに密着した回がありました。
ちょうど直木賞候補に『月と蟹』が入っていて、
受賞の電話が道尾さんの携帯電話にかかってくる場面をカメラが捉えていました。
その時の道尾さんは特に喜ぶ様子もなく・・・まあ、賞を取るためだけに本を書いているわけではないのでそんなものかなあと思った覚えがあります。
その番組を見て私は道尾さんを知りました。
なんというんですかね。ミステリアスな雰囲気漂う素敵な方だというのが第一印象ですかね。今もその印象は特に変わらないのですがね。
さて、話を作品に移しましょう。
主人公は小学生の男の子で、お父さんを亡くしている。
仲のいい友達の女の子はお母さんを亡くしている。
そしてもう一人の活発な男の子の友達。
なんとも小学生らしいヤドカリの遊び(儀式?)に夢中になったり、
あれ、お母さんは新しい男の人と会っているのかな?と
もやもやする男の子の気持ちになんとなく共感。
道尾さんの作品には小学生がよく出てきます。
そして「そういえば小学生の頃にこんなこと考えたことあるなあ」なんて
懐かしくなる心情を描いている作品が非常に多い。
『月と蟹』の最後のシーンでは
「自分も同じ立場だったら思い切ってこんなことするのかなあ」なんてことを考えました。現実的にはほぼ不可能なことを主人公はするのですが。
子供の頃の懐かしい思い出が蘇る。そんなお話です。