『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介
何か本を読みたいのだけど…
と人から言われて何を勧めようかと考える時間って楽しい。
私にとって人に勧めたい本のかなり上位に挙げられるのがこの作品です。
上の画像をよく見てください。
ぼろぼろになっているのがわかりますか?
これはある人にこの本を貸した結果、
あろうことかこんな状態になって帰ってきたのです。
どういうことか。
簡単に言えば
土砂降りの雨に打たれて全身がびしょ濡れになったときにそいつの鞄にあろうことかこの本が入っていたというのです。
唖然としますよね。
人によってはそいつの首根っこを掴んでもおかしくない。
しかし私はその人に呆れるだけで特に怒ることもなく、賠償請求もせず、自然乾燥させて当たり前のように本棚にしまったのです。
ま、そんな話はどうでもいいのですがね。
ざっくり言えばこの小説は
死んだ友達が蜘蛛に生まれ変わっちゃう話です。
読み進めていくうちにいくつかの疑問が浮かびます。
「これはどういうこと?」
「これもどういうこと?」
「お母さんは何と言って怒ったんだろう?」
「お父さんはなんで娘と会話…」危ない。
ネタバレの危機でした。
ひとつひとつの疑問が解消されていき、
「映像化は不可能じゃねーか!」
「騙されたあああ!」
という読書の快感に浸ることができる。
小説にしかできない表現です。
どろどろとしたお話でもあるので人によっては「よくこんな気分悪いもの勧めてくれたな!」と唾をとばして怒鳴る人がいるかもしれませんが、
小説の表現を楽しんで貰いたいという意味で
どんな人にでもお勧めをします。